# 010
YOSUKE YAMASHITA
October 22, 2014

GENRES
教育地域
生涯学習の市民大学をつくる市議会議員
高校の教員だった山下さんが政治家に転身したきっかけとはなんだったのでしょうか?教育と地域の関係などたくさんお話を伺ってきました。
Reported by Ayumi Yasuoka
— 今日はよろしくお願いします。山下さんは今どんな活動をされているんですか?
柏市で市議会議員をやっています。私は元々高校の教員で、ずっと教育学の研究をしていたんです。今は、その経験を生かして「柏まちなかカレッジ」という生涯学習の市民大学をつくって、地域で学び合う文化を育てようという活動をしています。
— まちなかカレッジって、「街全体が大学」ってことですか?
そうですね。柏の街の空いてるお店の片隅や公園を使って、市民の方々に先生になってもらうんです。そこで自分の職業のことについて授業をしてもらっています。普通に生活していたらなかなか出逢えないけれど、柏にはすごくおもしろい人がたくさんいるんですよ。そういう人に対話型の授業をしてもらっています。先生になる側の人も終わった後に自信を深めてもらえて、いい循環が生まれています。
— 山下さんは高校の先生だったということですが、なぜ政治家になろうと思われたんですか?
教員もすごくやりがいのある仕事でしたが、生徒たちや家庭の声を聞いていると学校教育だけじゃ解決できないことって多いなぁという壁にぶつかったんです。例えば、私が教員をしていたところでは、街そのものに活気がなくなってきていたんです。生徒の進路相談に乗っても「大学に行けない」「勉強したって意味がない」という声が聞こえたり。
— 不良が多くなったり?
不良はまだいいんですよ!!不良はまだ元気がある感じじゃないですか(笑)。そもそも子どもだけでなくて、大人にやる気がないんです。だから家庭環境も不安定になっていくんですね。そういう現場を見ていて、地域全体で学校教育に取り組んでいかなければならないなと思ったんです。そしてそれは教員という枠の中だとできないことだったんですよね。そこから議員になることを考えだしました。
— 教員って安定した仕事ですよね?学校を辞めて議員になろうというのは不安じゃなかったですか?
いきなり議員になった訳じゃないんですよ。教員を辞めてから一度、大学の博士課程に戻ったんです。そこでまず地域全体で学校を支える仕組みを考えようと思いました。その取り組みの中で、先ほどの「まちなかカレッジ」を実験的に始めて。そうすると地元の課題が見えてきたんですね。そしてみんなでプロジェクトを立ち上げて、ひとつひとつ課題を解決していくという流れが生まれました。その時に、これで教員になるのはもったいないなと思ったんです。教員に戻っても、良くできるのは学校の中だけ。地方の議員はその地域のことを直接変えていけるし、制度化や予算化など市内の小中学校すべてに働きかけられるから、インパクトも大きく変化も早いんじゃないかなと思いました。