# 018
SCHOOL OF BABEL
January 13, 2015

GENRES
教育文化
世界の縮図のような多文化学級〜バベルの学校〜
フランスのドキュメンタリー映画『バベルの学校』のヴェルトゥチェリ監督とセルヴォーニ先生にインタビューしてきました。『バベルの学校』はフランス語が話せない移民の子供のための適応クラスを追いかけたドキュメンタリー映画です。フランス映画祭にあわせて来日されたお二人にお話を伺ってきました。
Reported by Editor Remi
れみ
今日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。それではまず最初に、
『バベルの学校』の舞台になった適応クラスとはどのようなものか改めて説明していただけますか?また適応クラスの先生は普通の先生とは違うのですか?
24人の生徒で20の国籍という多文化なクラス。宗教や文化など異なる価値観の坩堝。
セルヴォニ先生
適応クラスとは、移住してきたばかりでフランス語を話せない子どもたちが普通のクラスで授業を受けられるようにサポートするクラスです。今回の撮影時のクラスは20カ国から来た24名の生徒たちでした。適応クラスを担当する先生には6年前から特別な資格が必要になりました。それまでは外国人にフランス語を教える資格があればできたのですが。
12年間適応クラスで教えてきたセルヴォニ先生
れみ
なぜ適応クラスを担当しようと思ったのですか?
セルヴォニ先生
もともとは英語の先生だったのですが、14年間海外でフランス語を教える仕事をしていました。帰国した後、その経験を活かしたかったのです。せっかく異文化の中でフランス語を教える体験をしてきたので。その後12年間適応クラスで教えています。
れみ
どのような理由でフランスに来る子どもが多いのですか?
セルヴォニ先生
いろんなケースがありますね。戦争だったり経済的な理由だったり。親がフランスで働いていて、親に呼ばれて来た子が多いかもしれません。母国では宗教的、文化的な理由で学校に行けないという女の子もいます。親はいろんな理由で子どもをフランスに住ませたいけど、子どもはそれに従うだけ。望んでフランスに来たわけではない子も多いです。自分の国でストレスの無い暮らしをしていたとしたら、フランスで狭いアパートに住んで言葉が通じない、というのは子どもにとってはとても苦痛です。そんな子どもたちがうまくフランス社会に溶け込めるように、フランス語で学校教育を受けられるというのはとても重要です。フランスでは、フランスに来る子どもみんなが学校に入る権利も義務もあります。現在平均して3万5千人から4万人の移民の子どもを教育しなければなりません。
れみ
それでは次に監督にお伺いします。この映画を撮ろうと思ったきっかけはなんですか?
世界中から子どもが集まってるなんて世界のシアターだと思った
ヴェルトゥチェリ監督
そうですね。私は好奇心が強いので、初めてこの適応クラスを知った時に、世界中から子どもが集まってるなんて世界のシアターだと思ったんです。1年間密着して撮ったら、きっと生徒同士が喧嘩したり友情が育まれたりといった様々なドラマが撮れるんじゃないかと思ったんです。最初はそんな好奇心からでした。
今回『バベルの学校』を撮ったヴェルトゥチェリ監督
れみ
ドキュメンタリー映画って、意図したものが撮れるわけじゃないですよね。適応クラスは、かなりカオスだと思うんですけど、作品にまとめあげるためにはどうやって撮るんですか?
ヴェルトゥチェリ監督
もちろん最終的には編集してストーリーを構成しますが、撮影に入る前にある程度の構想は意識しています。撮影のために週2、3日ほど通っていましたが、その日何も起きないことはもちろんあります。ケースバイケースで撮れるところを撮って、最終的に編集して全体的なストーリーが出来上がります。映画だといろんなことが起きないといけないわけで、喧嘩や悲しみ、両親の心配など、たくさんの要素があって構成されます。しかし最初からそう撮りたいというのではなく、あくまで生徒と出会って彼らの議論を聞きながら、それに沿った構成を組み立てていきます。