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CONCEPT
これからのかっこいいライフスタイルには「社会のための何か」が入っている。社会のために何かするってそんなに特別なことじゃない。働いてても、学生でも、主婦でも日常の中でちょっとした貢献ってできるはず。これからはそんな生き方がかっこいい。r-libではそんなライフスタイルの参考になるようなロールモデルをレポーターたちが紹介していきます。
# 024
HIROMI MASTUBARA
April 24, 2015

r-lib | 長谷川 あや × 松原 広美 サーフィンを通じて社会貢献を

GENRESArrow環境

サーフィンを通じて社会貢献を

 2014年8月に行われた気仙沼「大島アイランドフェスティバル」に参加。震災で海から離れたしまった子どもたちに、海で遊ぶことの楽しさ、海から学ぶたくさんのことを共有したくて地元の人たちと一緒に企画づくりから参加したという。
 ボランティア活動には、多くの人が参加してくれるので、それだけマネジメントには苦労をするとか。しかし、多様な価値観や関わり方を受け止めながら組織を維持していけば、それだけ可能性も担保されるということだ。

Reported by Aya Hasegawa

営利ビジネスと違って活動に正解がない


ー 活動をしていて、どんな所が大変だと感じますか?

 多種多様な価値観を持つメンバーやボランティアのマネジメントと資金調達には苦労します。環境保護や社会貢献をされている方には共通すると思うのですが、営利ビジネスと違って売上を上げることが命題ではないため、活動には正解がないんです。もちろん、壮大なビジョンは、海が綺麗になること、地球環境が守られることですよね。でもそれってスケールが大き過ぎてゴールを数値化しにくかったり、成果が見えづらく実感しにくいんです。そもそもゴールを掲げる必要はあるのか、数値化できることのみが成果なのか、という問いもあります。でも、環境保護や社会貢献事業でも、組織として健全に運営するためには資金が必要です。海をきれいにしたい、良くしたいという思いは共通していますが、目標へのアプローチも人それぞれです。さらに、活動に関わっている人がボランティアだと、時間の使い方、エネルギーの使い方、お金の使い方も千差万別です。志高いビジョンを掲げても、みんなが同じ方向を向くとは限らず、また向かせることも容易ではありません。強制はできませんから。けれど、熱い情熱を持った仲間達がいるからこそ、私たちのような草の根の組織は存続することができるのです。彼らは私たちのかけがえのない財産です。






湘南で実施したビーチクリーンアップの様子。老若男女、 地元の方もたくさん参加した


ー では、やりがいを感じるのはどんな時ですか?

 海が綺麗になって誰かに感謝されたり、そういう環境で仲間と楽しくサーフィンが出来たり、その喜びを分かち合えた時ですね。環境って数年で劇的に変わるものではないけれど、じわりじわりとそういう温かい気持ちになれた時にやってて良かったと思います。被災地にも行っていて、気仙沼で津波の影響で海から離れてしまった子ども達と海で遊びながら学ぶというイベントをやったんですけど、その時に一人の女の子が「将来、広美さんみたいになりたい」って言ってくれて、泣きそうなくらい嬉しかったですね。


ー すごく嬉しい一言ですね!!

 そうですね。彼女の原体験に私の名前と一緒に過ごした時間が、記憶として少しでも刻まれたのかなと思うと感動しました。大人になったらこの経験は忘れちゃうかもしれないけど、子どもの頃のそういう原体験はとても大事だと思っています。私自身振り返ると、原体験が今の自分のベースになっていると感じるので。


ー 松原さんの原体験はどのようなものでしたか?

 小学校はロンドンの現地学校に通って5年住んでいました。環境保護やチャリティーが浸透している中で育ったので、寄付や署名活動には積極的に参加していました。
 またむこうでは、多様な国籍、宗教、価値観が入り混じり、自分のアイデンティティを強く意識せざるを得ない環境です。だから自分の存在意義、役割、自分の生きる目的を自然と考える機会が多かったように思います。そういう原体験があったから、誰かに与えられる仕事ではなくて、自分には何が出来るだろう、自分はなんのために社会に生まれてきたのだろう、と真剣に考えることができたのだと思います。自分らしく輝き、自分自身が幸せであり、その結果周りの人にも社会にも幸せをシェアできる、そういう生き方を選択したのはそれが原点ですね。












小学校での出前授業では、海の環境問題についてレクチャーし、実際に海から拾ってきたゴミを見せて、海にはどんなゴミがあるのか、なぜそのようなゴミがあるのか、考えてもらうワークショップも実施



ー 小さい頃の経験が現在の活動に繋がっているんですね。「サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン」に参加される以前は何をされていたんですか?

 大学を卒業して5年間外資系企業の金融部門に勤めていました。その頃からサーフィンを始めていたので、いずれは海辺の近くでのんびり暮らしたいと思っていましたね。毎日、実体のない貨幣経済に身を置き、地に足がついていない仕事をするうちに「人生は一度きりだから、やりたいことをやろう!!」と思って、新しい方向性を探し始めたんです。その時に同じ未来を夢見る仲間たちと出会い、greenz.jpを立ち上げて4年ほど社長を務めました。

自分の心のスイッチを探すことがファーストステップ


ー キャリアウーマンだったのに、自分の本当にしたいことにチャレンジされたんですね!!そんな1歩を踏み出すためのアドバイスをぜひ伺いたいです。

 よく自問自答するんですけど、自分の好きなことは何か、自分自身に聞いてみるといいですよ。私の場合は、海が好き、サーフィンが好き、体を動かすのが好きだったから、そういうことをやっているビジネスや団体、ボランティアなどを探してみました。好きなことが共通している人は同じ価値観や目標を持っているはずで、一緒に活動すると大きな充実感を味わうことが出来ます。普通の仕事では得ることの出来ない、お金では買えない体験が出来ると思うんです。だから自分の原点やライフワークとして磨いていきたいと思えるようなことを、何でもいいので掘り下げてみることですね。そんな自分の心のスイッチを探すことがファーストステップだと思います。1歩踏み出せない人は、稼げるか稼げないかという単純で短期的な視点や損得感情ではなくて、自分の人生においてこの先どんなワクワクすること、どんな出会いや学びをもたらしてくれるかという長期的な視点で考えてみるといいと思います。それは結局、自分の生きる意味は何かを突き詰めていくことだと思っています。








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松原 広美

松原 広美HIROMI MASTUBARA

PROFILE

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 国際環境NGOサーフライダーファウンデーションジャパン代表理事。サーフィン暦10年。ウィンドサーフィンに明け暮れた大学生活を終え、外資系金融機関に就職。2006年、 仲間とともに環境ウェフマカシン greenz.jpを立ち上げ、代表取締役に就任。同年SFJの活動にかかわりはじめ、六ヶ所再処理工場の本格稼働反対キャンペーンにボランティアとして参加。東日本大震災をきっかけに 、東京を離れ、自然に寄りそったシンプルな暮らしと波を求めて外房の森の中へ移住。
  J-WAVE “Lohas Sunday”ナヒケーターを経て、現在は、日本の美しい海岸環境を次世代に残す環境保護活動に従事している 。 サーフィン以外の趣味は旅と料理。

by 長谷川 あや
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